続・俺は嘘はついていない
俺は考えた。
何故、誤解を与えているような気がするかと。
会話の流れをまとめると俺のスペックはこうなる
・ギターが弾ける
・歌も歌える
・オリジナル曲を作れる
・ライブにも出てる
上記を全て兼ね備えている人、つまりはシンガーソングライターと呼ばれる人種である。
ということになる。
俺は嘘はついていない
ライブハウスや音楽スタジオに行けば掃いて捨てるほどいる人種、しかし普通に生活していて偶然会う機会は実に少ない。
そんなレアモンスターに会えた彼女のテンション、上がるのも無理はない。
さて、世間一般でいうシンガーソングライターというのはどのようなイメージだろうか?
俺はGoogleに訪ねた。
さて、俺のライブ写真はどうだろう。
もう一度言うがこれは全てライブ中の写真である。
俺は考えるのをやめた。
後日、当事者である妻のママ友が家に遊びに来た。
俺はその時仕事で不在だった。
リビングに掛けてあるギターを見るなり、当然俺の話題になった。
「旦那さんの曲聴けるの?」
「まぁ聞けないことはないけど…」
妻は躊躇した。
そしてiPodを取り出し唯一の音源である「uramichi ism」という曲にカーソルを合わせた。
「いいのかな…」
その独り言は夫の許可がないこととは別の心配を含んでいた。
iPodのボタンを押した。
スピーカーから飛び出した鋭いギターリフが、ママ友の抱いていた俺のイメージにヒビを入れた。
その後彼女がどんな表情で曲を聴いていたのか、
どんな思いを抱いたのかは分からない。
ただ、俺は嘘はついていない